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2016.12/06 [Tue]
『キリマンジャロの雪』 アーネスト・ヘミングウェイ



『キリマンジャロの雪』 著者アーネスト・ヘミングウェイ

『キリマンジャロの雪』って父のボロボロのペーパーバックがあって、これはずっとウインナ・コーヒーのクリームの部分だと信じて疑わなかった子供のころ。
父にそう言われて、信じていたのだ。
学生時代、へミングウェイの短編集を読んではじめてコーヒーの話で無いと分ったときは衝撃的だった。
しかも、まったく面白いストーリーでは無かったのだ。
つかれきった中年のくたびれたボヤキ。のしあがって金持ち人生の真似事をしてはみたが、彼はいつも かつえていて、倦怠と失望の空気に満ちていた。それが全てボヤキと回想のなかに展開するのだ。十代の私にとってこれほどつまらない話があっただろうか。
それから『殺し屋』『老人と海』を読んでいった。
いわゆる彼お得意のハードボイルド技法の見本のような作品群である。
『誰が為に鐘は鳴る』『武器よさらば』は映画で見た。まったく女性の胸をうつ作品ではなかった。
ましてや何がハードボイルドなのか、その定義さえわからなかった。
父は知っていたのだろうか。

最近、軽井沢でとても美味しいキリマンジャロ・ブレンドを飲んで、ふと父の古い本『キリマンジャロの雪』を思い出した。
何故か ふと、また読んでみよう、と思った。
そして・・・
いいのだ。とっても、とってもいいのだ。
いろんな人生の雛形が、そこにあった。狡猾な野望も、成就したエゴをかみしめる自分も、ふと負った足の怪我が招く死の恐怖も、失望と諦めに酔いしれる最期も、愛する人を遺して逝く臆病さも、すべて泣けてくるのだ。
「自分が嘘によって生きてきたのなら、嘘によって死ぬようにすべきなのだ。」もうすぐ助かるはずのキリマンジャロに降り立つ機中で、彼はキリマンジャロをみる。目をつぶったままで、それははっきり、そしてくっきりと美しい稜線を描いていた。高さ19710フィートのアフリカ最高峰であるこのキリマンジャロは、凍てついた豹の伝説とともに解けることのない雪をいただいている。
・・・父の言うことは本当だったのだ。
まるであのコーヒーではないか。
わたしもやっとハードボイルドのわかる大人になったのかな?と思いきり納得してみたりした。
あのほろ苦いキリマンジャロ・コーヒーが飲みたくなった。
ヘミングウェイの主人公のような、渋くて苦いキリマンジャロを。
美雨
おまけ

上はクリームの雪を浮かべたキリマンジャロ・ブレンド。
ウインナコーヒーでは無い!と断言できるのは下画像との違いをみれば瞭然。

すごい拾い物ですが、撮影後、この方はこれを飲んだんでしょうか!?(@_@;)
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