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美雨の部屋へようこそ

ちょっとだけスピリチュアルな世界の旅日記や 文化、歴史のぷち・エッセイを書いています。他にも海外、国内のお気に入りのドラマのあらすじ&感想を勝手気ままに綴っています。

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ツヴァイク作 「マリー・アントワネット」下巻

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ツヴァイク「マリーアントワネット」 下巻

マリー・アントワネット 下巻


1881年、この本の著者ツヴァイクはウィーンの裕福なユダヤ人の家庭に生まれた。早熟かつ学識豊かで、語学の才溢れ、各国を旅して見聞を広め、一流の知識人たちと親交を持った。清澄なる谷間、ザルツブルクに住むが、ナチス・ドイツのオ-ストリア併合による迫害を逃れ、イギリス、アメリカを経てブラジルに亡命する。

その後、ヒトラーと手を結んだ枢軸国日本が、アジアにおけるヨーロッパの拠点を次々と攻略する情勢に衝撃を受ける。真珠湾攻撃、そして山下奉文を司令官とする帝国陸軍のマレー半島侵攻とシンガポール陥落。
そこにヨーロッパ文明の黄昏を見て、1942年、妻と共に毒を仰いで自害したとされる。享年61才。


13歳のマリー  
13歳のマリー      マリーにはやはり薔薇がよく似合う
彼女にはやっぱり薔薇がよく似合う

死の牢獄コンシェルジュリー マリーの最期の住まいとなった
パリ


しかし、戦後半世紀余りが経った今、かつてのアジアにおける悪逆非道の侵略者(と彼らには映ったであろう)日本人の子孫が、ツヴァイクの著書に触れて、その慧眼とヒューマニズムに感動した、という読者がいることを知ったならば、どんな想いを抱くであろうか。

21世紀、ヨーロッパ文明至上主義の神話は崩れつつあり、ようやく世界の諸民族の文化の独自性と価値が評価される時代を迎えた。
西欧人の傲慢極まりない白人至上主義。彼等が長い間蔑んできた有色人種を含めてグローバルな人文主義を打ち立てるべき時代。まさに今世紀はその潮流の渦中にある。それは未来の避け難い流れとなっていくだろう。
ツヴァイクのみならず、数千年に及ぶ西欧文明が生み出してきた金字塔たる名著の数々が、民族・階級を問わず、あらゆる原語に訳されて世界の人々の教養の土台となることを、彼もきっと望んでいるに違いない。


牢獄のアントワネット
150px-Marie_Antoinette_Adult11.jpg

断頭台へ向かうアントワネット
マリーの最期



以下、本(下巻)の印象的なフレーズを抜粋してみました。

◆パリは陰惨な食糧難の最中ということも構わず、ワインやたっぷりのご馳走が振舞われた。忠誠心も、愛と同じで、胃袋に左右されるということがよくある。

◆マリー・アントワネットが初めて考え、それも深く真剣に考えるのは、考えなければならなくなったからだ。働くのは、働かざるを得ないからだ。高みへ上がるのは、強大な力で惨めに押しつぶされないよう、運命が偉大になれと求めるからだ。

◆今や憤怒と不安は陽気な凱旋の中で解消される。革命の歌に轟々と打ち寄せられ、プロレタリア軍に押し上げられ、君主制の難破船は座礁していた大岩を離れていく。

◆自分の品位を落すような行き過ぎには、決して同意いたしません。不幸にあって初めて人は、自分が何者かを痛切に感じるのでしょう。

◆心の奥で、彼女はすでに悟っていた。破滅がもはや避けられないなら、心構えし、頭を真っ直ぐに上げて、せめて最後の義務は全うしよう。こんな風にわずかずつゆっくり底まで転落してゆくより、すばやい英雄的な死を、無意識のうちに憧れていたのかもしれない。

◆指導者たちは、ルイ16世の政治的な死を、さらに肉体へも敷衍させない限り、逆転の恐れはなくならないと信じ込む。共和国の建物に耐久性を持たせるには、王の血でモルタル塗りをするしかないと、過激な共和主義者たちは主張する。

◆どれほど純粋な理想であろうとも、いったん矮小な人間に委ねられれば、それはたちまち下劣で卑小なものへと変じ、その理想の名の下に非人間的なことが行なわれるのだ。

◆極限の孤独の中で、彼女が彼を想っていたように、同じ瞬間、彼も彼女を想っていた。幾マイルも離れ、幾重の壁に遮られ、見ることもできず手も届かないのに、それでもふたつの魂は同じとき、同じ願いを抱いていた。空間を超え、時を超え、彼の想いと彼女の想いは、天空に翼をはばたかせ、口づけをする唇と唇のように触れ合うのだった。

◆この人生でなすべきことは、もう多くない。あとひとつ残っているだけ。死ぬこと、それも見事に死ぬことだけ。



断頭台の上に立つ王妃マリー
断頭台の上に立つ王妃マリー
最後まで取り乱すことなく、毅然と目をみひらいていたという


この著作によって、ツヴァイクは、云われなき中傷の泥沼に突き落とされて忘却の淵に沈みゆくマリー・アントワネットの名誉の復権を成し遂げた。
そして、故意に隠蔽されてしまった、最後の騎士道に殉じたフェルゼン伯爵の愛を、崇高なまでに高めた。

ツヴァイクはあたかも第二のフェルゼンとなってペンを執り、マリー・アントワネットの最後の審判のための忠実な弁護人として、地上からの公正な調書をしたためた。

そのことによって、この世界に「高貴なる意思は最終的に勝利を収める」という希望を与えてくれた。
これがこの書物への所見である。




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Comment

ゆきぴさま 

はじめまして。
ご訪問とコメント、また応援までいただきましてありがとうございます<(_ _)>
アントワネットの最期は悲しいけれど、本来彼女が持っていた高貴さと聡明さがあふれていて、一番アントワネットらしい表情を見せてくれた気がします。だから彼女は世界史上で最も有名な王妃なのかもしれませんね^^

拙いブログですが、よろしくお願いいたします。


NoTitle 

こんばんは。
ブログランキングからきました。
アントワネットの最期悲しさが伝わってきました。
ポチっと応援して帰ります。
また拝見させていただきます。

miumiu美雨さんへ!! 

急に春めいてきましたねーさっぽろも3月上旬の気温でした。生憎病院通いの毎日で憂鬱ですが少しづつでもよくなっているようで我慢しています。
アントワネットにも負けないなでしこが出現していますねー女性競馬騎士もいればテニスの大阪さん、将棋の里見さんと実力でも男性顔負けですねー。☆x4

NoTitle 

ありがとうございます!すぐに長男に印刷して渡しました。
英語力入れるそうです。ありがとうございます!!
3月には次男が高校受験します。受験続き子供達が成長するとともに自分も成長できるよう頑張ります。ご丁寧に感謝です!!お日にち決まりましたらご都合あえば是非是非です!!
  • posted by よっちママ 
  • URL 
  • 2019.02/18 08:46分 
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和辻さま 

こんばんは。こちらにもコメントありがとうございます<(_ _)>

なるほどデュ・バリー夫人のふてぶてしさとあさましさは、生きざまだけでなく、最期の瞬間も醜く顕われていますが、王室で同じく”浪費婦人”と謳われた二人の決定的な違いは、有終の美を飾れたアントワネットに対し全く逆のデュバリーの進歩のなさでしょうか。これが血筋の違いと言えば、血筋の違いなのでしょう。

ツヴァイク自身も、大変ドラマチックな人生を送った人で、歴史的な悲劇の局面に立ち会った経験も多く、自虐的な側面もありますね。こうした悲劇のヒロインたちの伝記を書くことで、自身を慰めたり、カタルシスしていたのかもしれませんね。
ツヴァイクのメアリー・スチュワート、読んでみたいです。
いわゆる美しく残酷で愚かなばかりの女性ではなく、もっと人間らしい、共感できる、ツヴァイクならではの解釈にふれてみたいです。ご紹介ありがとうございます。

今日は。 

悲劇の王妃の生涯、興味深く拝見しました。王妃と言う至高の位置から落ちても断頭台で落ち着いた態度を取った事は、同じ断頭台に立ったデュバリー夫人と対照的です。これも彼女の血筋のなせる業でしょうか。
ツヴァイクといえばメアリー・スチュアートも有名ですが、彼女の断頭台で最期を終えた女性。著者は自分のフィナーレをこの二人に見つけようとしたのかと勝手な想像を巡らしています。
  • posted by 和辻 
  • URL 
  • 2019.02/17 16:57分 
  • [Edit]

かじぺたさま 

こちらこそ、ご厚情ありがとうございます<(_ _)>
私も、先代犬のことを思い出すと、あんなこと、こんなことで胸がいっぱいになって、涙がとまらなくなります。
でもきっといつか、虹の橋のたもとで再会できると信じて、後悔しないように考えています。
エドちゃんもアーサー君も、かじぺた家の家族になるために生まれてきたんですよね。
今世でも、来世でもつながっていくと信じています。


> マリー・アントワネット・・・・・
> ギヨチーヌは罪人の苦しみが長引かないように・・・

そうでうよね、ギロチンのあの独特のインパクトと大きさを考えたら、その前に立った罪人(冤罪の場合はとくに)は、身震いしないわけがないと思います。
日本もそうなのでしょうが、西欧人の拷問や処刑の仕方ってすごく残酷ですよね。ドイツのローテンブルグにある、中世拷問博物館など、もう5分とそこにいられない悲惨さで、まあよくこんなものを発案したり、実際作っていくものだと、そのサディスティックさに身震いしました。はかりしれない怖さって、道具より、人間の恐ろしさかもですね。アントワネットは、それを感じたくないために、人生の殆どを、あえてふわふわと別世界を漂っていたのかもしれないな・・・なんて考えてしまいますね。

多楽さま 

今回も、お優しいコメントありがとうございます<(_ _)>

アントワネットの人生の9割は、”意識”の乏しい、人形のような時間だったのに、後半生の、最後の最後に本当の一個の人格に目覚めたような、それも立派な王妃としての人格が芽吹いてくるというのは皮肉なことですね。
多楽さんおっしゃるように、王妃としての矜持が、ギロチン台に向かうアントワネットの毅然とした表情によく表れていますね。着飾ってフワフワした肖像画のアントワネットより、晩年の、毅然とした瞳の王妃の肖像画のほうが、私は好きです。

こんばんわ^^ 

マリー・アントワネットは、歴史に翻弄されながらも、王妃としての矜持を持って、最後まで毅然としていたというイメージが強いですが、今回紹介された著者ツヴァイクも波乱の人生だったのですね…

当時の悲惨さが染みてきますね…


素敵な記事をありがとうございます。
今日も、感謝のぽち×4
  • posted by 多楽 
  • URL 
  • 2019.02/16 22:04分 
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  • 2019.02/16 13:10分 
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こんばんは(^^*) 

素敵で泣けちゃうコメント、どうもありがとうございましたm(;∀;)m
本当にそうなんですよね・・・・・・
私もエドが虹の橋に行っちゃってもアーサーが居てくれたから
なんとか立ち直れたけど
今度は、アーサーが
ちょうどアーサーが来た時のエドと同じくらいの歳になったので
やっぱり考えちゃいますね・・・
もうちょっとしたら
ペットショップめぐりを本気で始めちゃうかもしれません・・・


マリー・アントワネット・・・・・
ギヨチーヌは罪人の苦しみが長引かないように・・・
と、医師のギヨタンが考案したと言われていますが
実際に処刑される側からすれば
目に見えない刃が上から音を立てて落ちてくるのは
かぞかし恐怖だったと思います・・・・・・
彼女は、それでも毅然としていた・・・
やはり彼女は最期まで
王妃の誇りを胸に生き切ったのでしょうね・・・

とにかくヨーロッパの歴史は血塗られたものが多くて
(日本も結構そういうトコありましたが・・・)
やりきれなさを感じることもありますね・・・・・

温かいコメント
本当にどうもありがとうございましたm(;▽;)mv-238
こちらこそ不義理ばかりで申し訳ありませんが
これからも末永くよろしくお願い致しますm(_ _)m
  • posted by かじぺた 
  • URL 
  • 2019.02/15 23:02分 
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  • 2019.02/15 12:35分 
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  • 2019.02/15 08:39分 
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MIUMIU 美雨

Author:MIUMIU 美雨
旅、歴史、長編ドラマ(短編も)のレビューやエッセイを書いています。
文化系の記事が多いですが、歴史ドラマ(大河ドラマ:八重の桜)や、韓ドラレビューも書きます。中でもソン・イルグクさんの作品が大好きです。
更新はマイペースで続けていきますのでどうぞよろしくお願い致します。

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