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美雨の部屋へようこそ

ちょっとだけスピリチュアルな世界の旅日記や 文化、歴史のぷち・エッセイを書いています。他にも海外、国内のお気に入りのドラマのあらすじ&感想を勝手気ままに綴っています。

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CAのつぶや記20 ロマネスクの異端児?未来派? オータン大聖堂の彫刻家ジルベール

ロマネスクの異端児?未来派? オータン大聖堂の彫刻家ジルベール

オータンの町

ここはフランス、オータン。
町の中心はマルス広場 Champs de Mars駅から広場を横切り Av. Ch. de Gaulleをどんどん進むと、つきあたりに出ます。
ここからサン・ラザール寺院 Cathedral St-Lazare まで、石畳の道を歩いて行くと、まず2本の尖塔、それからタンパン(正面上部にある半円形の部分)が現れてきます。「最後の審判」の図です。

中央にひときわ大きな姿で立つ摩訶不思議なキリスト。

彼によって審判を下された者は、上段の天国か、下段右側の地獄へと送られることになります。
皆とにかく体が長い。8等身どころか10等身もありそうなプロポーション。これが彫像だったら随分と不自然でしょう。ところがこうして半円形の中にすっぽり収まると、調和を保つから不思議。ちゃんとそこらへんのことが計算された上で彫られているのです。


中央扉上部 タンパン 最後の審判 


しかしながら当時はこのタンパン、1766年に、稚拙だから恥ずかしいので隠そうと教区が決定し、なんとしっくいで埋められていたというから驚き。それが幸いして、フランス革命の時の破壊を免れたそうですから、なんとも皮肉ですね。

この作品は12世紀のものにしては珍しく、作者名がわかっています。キリストの足許に刻まれた文字「GISLEBERTUS HOC FECIT」(ジルベールこれを作る)によって知らされているわけですが、彼の名を一躍世にしらしめたのはキリスト像ではなく、自堕落な女性の傑作でした。


聖ラザール寺院のオータン
とにかくどれも長い


さて、女性には2つの型があると言われます。

マリア型とイヴ型。

ともに聖書に出てくる人物ですが、その性格は全く違います。

永遠の処女であり、かつ母性の象徴である聖母マリア。それに対して誘惑的で放逸、あげくの果てにはアダムを禁断の世界へと導いてしまうイヴ。
ほら、あなたのまわりにも、マリアっぽい人とかイヴっぽい人ってるでしょう?
 
でもイヴだって最初から危険な女だったわけではありません。
禁断の実を食べるまでは、彼女も罪を知らない女だったのですから・・・


オータンのイブ


「GISLEBERTUS HOC FECIT」の、ジルベールを一躍有名にした、こちらがそのレリーフ。

世界でもっとも有名な女性の一人であろう、アダムとイヴの「イヴ」です。
 ここオータンにあるロラン美術館のレリーフに刻まれたイヴは、無垢な1人の女が、初めて罪を知ってしまう、そんな危うさを秘めています。このレリーフは12世紀生まれ。もとオータン大聖堂の北側扉口を飾っていたもの。そしてこの聖堂の正面には、彼女の犯した罪によってもたらされた最後の審判の日の場面が、生々しく描かれています。
レリーフの中で横たわる彼女は左手でしっかりと木の実を握りながら、それを見まいとしています。
目は、これから自分に訪れるであろう世界を待ち受けるかのように、見開いたまま前を見つめています。
 

ギメ美術館にあるレプリカ。
イヴ
ロマネスク教会の彫刻のなかで何故か人気の高いオータン『イヴの誘惑』


ここオータンにあるロラン美術館のレリーフに刻まれたイヴは、無垢な1人の女が、初めて罪を知ってしまう、そんな危うさを秘めています。
 女性特有の、あの好奇心にかられつつ、おそらく800年間、ここで誘惑の果実と戦ってきたのでしょう。

ローマの作風を継承したロマネスクの均整のとれた彫像とは程遠く、異常に手が長くアンバランスな、うつろな目をした摩訶不思議なイヴ。しかしながら、観る人の心を捉えて離さない強烈なイヴ。
時代精神をまるで映さない、個人のマニャックな美観のみで彫られたかに見えるキリストといい、生まれてくる時代を間違ったのではと思わずにいられません。
18世紀になって「稚拙だから恥ずかしい、隠そう」と教区が決定し、しっくいで埋められていたのが幸いして、フランス革命の時の破壊を免れたそうですから、歴史の皮肉という以上に、何かしらの因果関係すら感じてしまうのは私だけでしょうか。

まるで現代彫刻として評価を浴びたいかのように、数百年の時空を超えて現れ出た、大聖堂のジルベール作品・・・これぞ奇跡のようです。



美雨

※現在、イヴのレリーフ(彫刻)はローマ時代の遺品を展示したロラン美術館Musee Rollenに展示されています。


❤最後まで読んでくれてありがとう❤
猛毒を持つという伝説の怪鳥バジリスクより
聖堂内の柱頭彫刻、第8柱に彫られた、猛毒をもち
人をにらみ殺すといわれる伝説上の怪物バジリスクより



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Comment

sunnylakeさん 

アダムが、イブの差し出した誘惑の果実を食べてから、誘惑は女性の悪徳として永劫に刻まれた上に、楽園を追放され、生みの苦しみ(出産時の陣痛)を与えられてしまいました。西洋の神様は厳しいんですね。(苦笑)

> イヴの目が特有な感じがしました。
> 焦点が合っていないような不思議なまなざしですね。

sunnylakeさん、さすが、着眼点が違いますね。
それが不思議と、下から見るのと正面から見るのと、また側面から見るのとでは全く表情も違っていたりして、面白いのです。聖堂にもともと彫られていた場所の角度を計算してああなったとも思われますが、まったく好き放題に作った、というのも彼の場合にはアリかな?なんて思える奔放さがいいですね。(=^・^=)

コメント、ありがとうございました。
  • posted by MIUMIU 美雨 
  • URL 
  • 2010.10/06 08:45分 
  • [Edit]

No title 

アダムとイヴのお話、なんとなくしか知らなかったのですが、イヴがアダムを誘ったのですね。
イヴの目が特有な感じがしました。
焦点が合っていないような不思議なまなざしですね。
バジリスクはさすが 怖い顔です。
  • posted by sunnylake 
  • URL 
  • 2010.10/05 21:57分 
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かえるママさま 

今日もご不自由かけてすみません、アッシジのフランチェスコ記事のページ、そういえばコメント欄閉じておりました。<m(__)m>

ママさまは聖書の言葉にもお詳しいのですね。
マタイの書いたイエスの言葉は、とりわけ普遍性をもって何千年と引用されていますね。
普段、雑然としたルーティーンワークの中に我とわが身を置いていると、いつしか気持ちも枯れてきて、ただ作業する人、作業する人生になってしまい、どうしてここにいるのか、なんのために生きているのかという疑問さえ薄れてきます。そんなとき、旅をしたり、旅の思い出を振り返ることで自分との対話ができるのは大変嬉しいことです。

旅は、私にとって、心の栄養剤で、心の薬のようなものなのかもしれません。(=^・^=)
いつもお優しい言葉で励ましてくださり、本当にありがとうございます。
  • posted by 美雨 
  • URL 
  • 2010.10/05 20:16分 
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No title 

今日は、聖フランシスコの命日だったんですね。
うるうる来ました。
聖書の言葉、かえるままも、深く心に刻まれた一文だったんです。
日々の忙しさの中、社会の喧噪の中忘れかけてた、心を思い出しました。
美雨さんの中に天使を見ました。
ありがとうございます。感激したので、別の記事に、コメント無理矢理させていただきました。ごめんなさいね。

それと、示唆に富んだアドバイス(と勝手に思ってる)ありがとうございます。美雨さんのような芯のしっかした方、尊敬します。
かえるまま、まだまだですね・・・(何のこと?って思うかもしれませんが、気にしないで下さい。(o^^o))
  • posted by かえるまま 
  • URL 
  • 2010.10/05 10:20分 
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ダリアさん 

こんばんは。
イケナイ時間に亀レス、すみません<m(__)m>

ダリアさんは哲学者ですねー(^O^)

> マリアとイヴ。女性は両面持ち合わせていますよね?私は、イヴの方が人間らしいように、思えます。というか、楽園を追い出されたからこそ、人間としての苦しみも喜びも知ることができたわけですし。飛躍した考え方かもしれないけれど、楽園とは、母親の胎内の事のような気がしました。

その通りだと思います。ちょっとニュアンスそれるかもですが、風の国のテーマ、「痛みを知らないものは王にはなれない」にも、共通したものを感じました。失敗して、後悔して、痛みも苦しみも経験するから成長して、より完成された人間になるのですよね。
最初から完璧な人間の女だったら、世界はこんなにも多様性に富んでいない、物語のなにも無い空間だったのでは、と思います。
素敵なコメント、ありがとうございました。(*^^)
  • posted by 美雨 
  • URL 
  • 2010.10/05 01:37分 
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かえるママさま 

こんばんは。

ママさまはマリア型そのものですね。
清く、正しく、美しく・・・そのまんま、宝ジェンヌのよう!?(#^.^#)

> イヴは好奇心故に禁断の果実を食べてしまったのですから、好奇心、向上心旺盛な美雨さんはイヴっぽいですね。

そうかもですね。
ただ、私は危ういものは見に行かない習性があるんです。
見に行って、傷ついたり想念を乱されるのがイヤなので、行かないでいられる、そういう習性というか、抑制心だけはあるんです。だから、待ち構えてたり攻撃するほうはツマラナイでしょうね。(爆)
そのかわり、好きになったもの、いれこんだものには、とことんのめり込んじゃうタイプかな・・・
って、やっぱりイヴ型ですね!(=^・^=)
  • posted by 美雨 
  • URL 
  • 2010.10/05 01:30分 
  • [Edit]

ピー助さん 

今日もコメントありがとうございます<m(__)m>

長いんですよ、びよーんって。(笑)
ガムとか、ゴムをひっぱったみたいに。
下から見るからちょうどいいと思ったのか、作者の好みなのか、よくわからないところがまたいいんです。
ルネッサンスより古い、12世紀の作品なのに、斬新でしょう?
なんか楽しい想像をいっぱい醸し出してしまいます、ジルベール君。(^O^)
  • posted by 美雨 
  • URL 
  • 2010.10/05 01:10分 
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けろりんさん 

こんばんは。
ジルベールのイヴはお茶目で、なんか憎めないですね。
女性から好奇心をとっちゃったら、すごーくツマラナイ、無機質な人間になってしまうと思います。
イブもマリアも、双方のエッセンスを混ぜて、いいとこどりすればもっとも理想的な女性!?になる気がします。(=^・^=)
  • posted by 美雨 
  • URL 
  • 2010.10/05 01:07分 
  • [Edit]

管理人のみ閲覧できます 

このコメントは管理人のみ閲覧できます
  • posted by  
  •  
  • 2010.10/04 20:12分 
  • [Edit]

楽園って? 

マリアとイヴ。女性は両面持ち合わせていますよね?私は、イヴの方が人間らしいように、思えます。というか、楽園を追い出されたからこそ、人間としての苦しみも喜びも知ることができたわけですし。飛躍した考え方かもしれないけれど、楽園とは、母親の胎内の事のような気がしました。
  • posted by ダリア 
  • URL 
  • 2010.10/04 17:13分 
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No title 

イヴは好奇心故に禁断の果実を食べてしまったのですから、好奇心、向上心旺盛な美雨さんはイヴっぽいですね。

何事も歴史にドラマあり・・・
今日も知らないことを沢山教わりました。(o^^o)
美雨さんありがとうございます。
(*^。^*)ポッ!!知(*^。^*)ポッ!!知。(=ポチポチ完了です。)

  • posted by かえるまま 
  • URL 
  • 2010.10/04 15:09分 
  • [Edit]

No title 

このイヴは、なんだか可愛いですね。
しかし、みんな長~い(笑)

初めて聞くものばかり、勉強になりました^^
  • posted by ピー助 
  • URL 
  • 2010.10/04 10:00分 
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No title 

ジルベールのイヴは愛らしくていいですね^^
イヴはエデンの園を追放されちゃったけど
好奇心旺盛な彼女には親しみを感じます
  • posted by ケロリン 
  • URL 
  • 2010.10/04 01:21分 
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tedukuridaisuki さん 

こんばんは(#^.^#)

わたしがマリア型だなんて、大笑いで家族全員ふっとびます~~((+_+))
お祈りするのは大好きですが、お調子者なのでダメですね。^^;

tdukuridaisukiさんも美術館お好きですか。
そういえばこの間もブログで、北欧の記念館めぐりとかしてらっしゃいましたよね。
ガブとラッピーが熊と戦っていましたが・・・(爆)

いつもお優しいコメント、ありがとうございます。(=^・^=)
  • posted by 美雨 
  • URL 
  • 2010.10/03 23:43分 
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けろさん 

こんばんは!
今日は良い秋の一日でしたね・・・でも、今さっき雨が降り出して、わんこの散歩から大慌てで帰ってきました。(>_<)
夜は急に冷え込むので、けろさん風邪ひかないように温かくして休んでね(*^_^*)
いつもありがとうございます。
  • posted by 美雨 
  • URL 
  • 2010.10/03 23:38分 
  • [Edit]

No title 

美雨さんはマリア型なのかな~
イルグクさまの為に
ケーキを焼いたり
バイオリンを弾いたり~^^

美術館は好きで
できるだけ観ますが
美雨さんのようなガイドをしてもらえると
感動が違ってきます~
  • posted by tedukuridaisuki 
  • URL 
  • 2010.10/03 22:30分 
  • [Edit]

No title 

こんばんは
今日も教養たつぷり
ホントすごいです。
  • posted by けろ 
  • URL 
  • 2010.10/03 22:12分 
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MIUMIU 美雨

Author:MIUMIU 美雨
旅、歴史、長編ドラマ(短編も)のレビューやエッセイを書いています。
文化系の記事が多いですが、歴史ドラマ(大河ドラマ:八重の桜)や、韓ドラレビューも書きます。中でもソン・イルグクさんの作品が大好きです。
更新はマイペースで続けていきますのでどうぞよろしくお願い致します。

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